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Posted by のらんば長崎運営事務局 at

2017年05月12日

巡礼記-8



本州をまだ歩いていた頃は

寒い日も多かった




雨が降るとポンチョに山笠

手足はずぶ濡れ感覚がなくなり

指は全く思い通りに動かせない




国道と言えど

峠などでは歩道もなくなり

大型トラックがすぐ脇を

物凄いスピードで走り抜ける




ポンチョは風に煽られ

体ごと持っていかれそうになり

山笠は吹き飛ばされ

トラックが巻き上げた水しぶきを

顔にも浴びる




それは恐怖だ




少し避けてくれる車もあれば

スピードを落としてくれる車もある




一方ですぐ脇を

恐ろしいスピードで走り去るものもある




俺は車を運転していたとき

一体どのように走っていただろうか




余り記憶がないから、俺もきっと

思い遣りなく走っていたのではないかと思う




でもこれからは

思い遣りを持って走ることが出来るだろう




人間はそんなもんだと思う




自分が恐怖や悲しみや怒りを体験するから

ひとに同じ事をしないようになってゆく




そして、歩いている今はそんな感じだから

トラックが通る度に立ち止まり

ポンチョと山笠を押さえ

飛ばされないように構える




結果として

なかなか距離が伸びないし

寒さで体力はどんどん失われ

氣力も萎えそうになる




でも一歩を踏み出せば

その一歩分だけ着実に前進し

長崎に近づいているんだという

今だけの実感に思いを寄せる




これを繰り返しているうちに

恐怖や怒りは和らぎ

歩けている喜びが湧いてくる





「今を生きる」

という言葉を良く目にするけれど

まさにこれが

「今を生きている」

という感覚だ




ひとは体験から学ぶ

更にそれが冒険であれば

その学びは更に深まると思う




俺は

子どもの頃から冒険が好きだった

たくさん怪我もしたし

危ない事もたくさんあった




それで良かったと思う




冒険のない人生は退屈だ

無難な生き方は退屈だ




勿論それは、ひと夫々で良い

でも俺はきっとこれからも

冒険し続けるんだろうな




つづく





  
タグ :巡礼

Posted by 放浪太郎 at 17:51Comments(0)