巡礼記-14
巡礼、17〜19日目のこと。
身体はとっくに限界を超えていたと思う。
しかし氣持ちは晴れやかに歩いていた。
街を歩くと疲れるが、田舎道になると少しは氣が満ちてくる。
そんな状態の中、この3日間は長崎の大村湾沿いを歩いた。
そこで氣がついた。
24年を長崎に生まれ育った俺だけれど、大村湾は好きではなかった。
波乗りや素潜りが好きだった俺にとって、内海である大村湾は淀みだった。
ところが大村湾沿いを歩いていて、身体に氣が満ち入る感覚を覚えた。
車で一周すると4時間ほどかかる大きな湾の外海との出入り口は狭く絞られていて
そこは潮の満ち干きによって渦を巻くほどの激しい流れとなる。
空氣もそこで取り入れられるし、それ以外の周波数のエネルギーもここで調整される。
大村湾がそんな感じだったと初めて知った。
そしてテクテクあるくうちに、氣になるお店があった。
一文も持たず歩き始めた巡礼なので、立ち寄る勇氣はなく通り過ぎた。
実はそこが今回の移住先のすぐ近くの「竹の家」だった。
春引越しを始めてから、ここの店主ご夫婦と仲良くなった。
しかもこのご夫婦には全国でLIVEをやっているミュージシャン仲間の十輝もお世話になっていたのだった。
そしてその先にまたテクテクと歩き進むうちに、俺はもしかしてここ琴海(きんかい)に住むんじゃないかと直感した。
しかし俺には長崎には空き家の実家がある。
思い違いかな、なんてその時は歩き続けたのだが、それから1年後には琴海に住むことが決まっていて今に至る。
人生は巡礼と同じ、たどり着けるかどうかなんてわからないし、先を思い悩むこともない。
只々、今の一歩を踏み出すだけだ。
しかしその一歩の先に初めて訪れるものが来る。
おかしな日本語に聞こえるかもしれないが 「訪れるものが来る」のだ。
大切なことは、今の一歩。
それ以外にはないことを、この巡礼で身体で知ることができた。
そして今、琴海の古民家への移住を進めている。
かなり修理が必要で、秋までにリノベーションを完成させる予定。
それもまた、一歩一歩。
廃材集めたり、DIYで色んなものを造ったり。
ワクワクが絶えることはない暮らし。
琴海あたりを歩いている時の写真
琴海あたりで新聞社の取材を受けた、その記事